植林を企業活動にする前に知りたい、森の手入れが防災にもなる理由 – MAKE HAPPY
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植林を企業活動にする前に知りたい、森の手入れが防災にもなる理由

植林を企業活動として考え始めたとき、まず迷うのが何をすればよいのか、という点ではないでしょうか。植えれば良いのか、それとも別の形があるのか。さらに、防災にもつながると聞くけれど、森と災害の関係がいまひとつ腹落ちしない。そんな状態のまま企画を進めると、社内の説明でつまずいたり、現場で思っていたのと違うと感じたりしがちです。この記事では、植林と森林の手入れを企業活動として進める前に知っておきたい基本を、できるだけ生活者目線で整理します。読み終えた頃に、次の一歩が少し具体的になっていればうれしいです。

植林を企業活動に取り入れる前の確認ポイント

企業として森に関わるときは、良いことをしたい気持ちだけで決めないほうが安心です。目的と手段がずれると、社内の理解が得にくくなったり、継続が難しくなったりします。最初に確認したいのは、CSRとSDGsの違い、活動の選択肢、そして社内で合意しやすい目的の立て方です。ここを押さえるだけで、企画書の説得力が上がりやすくなります。

 

CSRとSDGsの違いの整理

CSRは企業が社会に対して果たす責任全般を指し、地域貢献やコンプライアンス、働き方なども含みます。一方SDGsは国際的な目標の枠組みで、環境だけでなく貧困や教育など幅広い課題が対象です。植林や森林整備は、気候変動や陸の豊かさに関わるテーマとしてSDGsに結びつけやすいですが、だからといってSDGsのために植える、と言うだけだと中身が薄く見えます。自社の事業や地域との関係の中で、なぜ森なのかを言葉にすると、CSRとしてもSDGsとしても筋が通ります。

 

寄付・植樹・森林整備の選択肢の比較

森への関わり方は一つではありません。寄付は現場の人手や道具代に回りやすく、社員の稼働が少なくても続けやすい方法です。植樹は分かりやすい体験になり、社内イベントとして実施しやすい反面、植えた後の下刈りや獣害対策など、その後の手入れが前提になります。森林整備、特に間伐は森の状態を整えることに直結し、防災や水の循環の観点で説明しやすい活動です。自社が何を重視するか、体験か継続か、地域との関係づくりか、で選ぶと迷いが減ります。

 

社内合意につながる目的設定

社内合意は、目的が具体的なほど得やすいです。例えば社員参加の学びの機会を増やす、取引先や地域と一緒に活動する機会をつくる、環境配慮の行動を年単位で継続する、といった形です。防災を目的に含めるなら、森の手入れが雨水の流れに影響すること、放置された人工林で土が動きやすくなることなど、後の章で触れる内容を短い言葉にしておくと説明が楽になります。活動の前に、何を成果として残すかも決めておくと、ぶれにくくなります。

 

 

森の手入れが防災につながる理由

森と防災は、少し離れた話に見えますよね。でも実際は、雨が降ったときに水がどこへ行くか、土がどれだけ踏ん張れるかに森の状態が関わっています。手入れのある森は、雨を受け止め、ゆっくり地面にしみ込ませ、川へ流すまでの時間を稼ぎやすくなります。ここでは森林が持つ雨との付き合い方を、難しい言葉を減らして整理します。

 

雨の受け止め役としての森林

雨はまず樹冠、枝葉に当たり、一部はそこで受け止められます。これを樹冠遮断と呼び、地面に落ちる雨の勢いを弱める働きがあります。勢いが弱まると、地面の土が跳ね飛ばされにくくなり、表土の流出を抑える方向に働きます。また森の中は落ち葉や小枝が積もり、スポンジのように水を一時的にためる層ができやすいです。手入れで光が入り、下草が育つと、この受け止め役がさらに厚くなります。

 

根・土・落ち葉がつくる水の通り道

水は地表を一気に流れるより、土の中にしみ込んでゆっくり動くほうが、急な増水を起こしにくいです。森の土には根が張り、枯れた根が分解されることで小さな空間が増えます。そこが水の通り道になり、雨水が地中へ入りやすくなります。落ち葉が分解されてできる腐植も、土をふかふかにし、水を抱えやすくします。手入れの行き届いた森ほど、こうした構造が保たれやすいです。

 

土砂災害リスクと森林状態の関係

土砂災害は雨量や地形が大きく関係しますが、森林の状態も無関係ではありません。下草が少なく地表が裸に近いと、雨滴で土が崩れやすくなり、細かな土が流れて土の目が詰まりやすいです。すると水がしみ込みにくくなり、表面を流れる水が増えます。また根が浅い状態や、土が締まりすぎている状態も、斜面の安定に影響します。森の手入れは災害をゼロにする話ではなく、リスクを小さくするための土台づくりとして考えると理解しやすいです。

 

 

手入れ不足の人工林で起きやすいこと

日本の山には、人の手で植えられたスギやヒノキの人工林が多くあります。人工林は木材として役立つ一方で、畑と同じで手入れが前提です。ところが担い手不足や採算の問題などが重なり、十分な手入れができない場所もあります。ここでは、放置に近い状態で起きやすい変化を、現場のイメージが湧くようにまとめます。

 

スギ・ヒノキ林が暗くなり下草が育ちにくい背景

植えた木が成長して本数が多いままだと、森の中に光が入りにくくなります。特にスギやヒノキは枝葉が重なりやすく、林床が暗くなりがちです。光が足りないと下草が育ちにくくなり、地面を覆う植物の層が薄くなります。下草は見た目だけの問題ではなく、雨の勢いを受け止めたり、土を根で押さえたりする役割があります。暗い森は静かで良さそうに見えても、地面の環境が弱りやすい面があります。

 

表土が流れやすくなる状態

下草が少ないと、雨が直接地面を打ち、土の粒がはねて流れやすくなります。落ち葉が少ない場所では、スポンジ層が薄くなり、雨水が一気に流れる方向に傾きます。さらに、人が入りにくい森では、倒木や土の崩れが放置され、作業道が荒れて水の通り道が偏ることもあります。こうした小さな変化が積み重なると、斜面の水の動きが乱れ、土が動きやすい条件がそろってしまいます。

 

林業の担い手不足と放置の連鎖

手入れが進まない背景には、木を伐っても収入につながりにくい、作業が危険で人が集まりにくい、山が遠くてコストがかかる、といった事情があります。結果として間伐が遅れ、森が暗くなり、作業がさらに難しくなるという連鎖が起きやすいです。企業活動として森に関わるときは、植えるだけでなく、こうした地域の事情も踏まえて無理のない関わり方を選ぶことが大切です。

 

 

間伐という森林整備の基本

森林整備の中でも、間伐は基本のひとつです。木を切ると聞くと環境に逆行する印象が出やすいですが、人工林では木を育てるために間引く作業として位置づけられています。適切な間伐は、森に光と風を入れ、下草が育つ環境を整えます。防災の観点でも、地表の状態を改善する土台になり得ます。

 

間伐の目的と森の変化

間伐の目的は、木の混み具合を調整し、残した木を健全に育てることです。木が密集すると、細く背の高い木になりやすく、風雪で倒れやすくなることがあります。間伐で本数を減らすと、残った木に光が当たり、根や幹が育ちやすくなります。林床にも光が届き、下草が増えると、雨を受け止める層が厚くなり、土が露出しにくくなります。見た目にも森が明るくなり、作業の安全性も上がりやすいです。

 

間伐後に必要な作業の目安

間伐は切って終わりではありません。切った木を運び出す搬出、枝葉の整理、作業道の補修などが必要になる場合があります。現場によっては、間伐後に日当たりが変わることで下草が一気に伸び、次の手入れが必要になることもあります。どの程度の頻度で手入れするかは、樹種や立地、目指す森の姿で変わります。企業として関わるなら、単発の体験にするのか、数年単位で同じ場所を見守るのかを決めておくと、現場とのすり合わせがしやすいです。

 

切った木の活用先と地域循環

間伐材は、建材だけでなく、チップ、紙の原料、バイオマス燃料、地域の施設の熱源など、さまざまな使い道があります。ただし山から出すコストが高いと、活用が難しいこともあります。だからこそ、地域の製材所や工務店、自治体の取り組みとつながると、循環が生まれやすいです。企業活動では、間伐材をどう活かすかまで考えると、環境貢献が説明しやすくなり、地域にもメリットが残りやすくなります。

 

 

植林だけでは足りない理由

植林は分かりやすい一歩ですが、植えた木が育つまでには長い時間がかかります。特に植えた直後の数年は、人の手が入らないと枯れてしまうこともあります。さらに、場所に合わない樹種を植えると、成長が悪かったり、手入れの負担が増えたりします。ここでは、植えることと育てることの違いを整理し、企業活動として失敗しにくい考え方をまとめます。

 

植えた後の下刈り・獣害対策の必要性

苗木は背が低く、周りの草に負けやすいです。下刈りは、苗木の周囲の草を刈って光を確保する作業で、植栽後の数年間に複数回必要になることがあります。またシカなどの食害で芽や樹皮を食べられると、成長が止まったり枯れたりします。防護柵やチューブなどの獣害対策が必要な地域もあります。植林を企画するなら、当日の植える体験だけでなく、その後の手入れを誰がどの範囲で担うかを事前に確認しておくと安心です。

 

適地適木という考え方

適地適木は、その土地の気候や土壌、標高、日当たりに合う木を選ぶ考え方です。例えば乾きやすい尾根と湿りやすい谷では、向く樹種が変わります。災害リスクの観点でも、急斜面での作業は危険が増えるため、無理に植えるより、既存の森を整えるほうが良い場合もあります。森づくりは、理想より現実に合わせるほうが長続きします。地域の森林管理者や専門家の意見を聞きながら決めることが近道です。

 

単一樹種と混交林の違い

単一樹種の森は管理がしやすい一方で、病害虫や気象条件の影響を受けやすい面があります。混交林は複数の樹種が混ざることで、光の入り方や根の張り方が多様になり、森の構造が豊かになりやすいです。ただし混交林も放っておけば良いわけではなく、目指す姿に合わせた手入れが必要です。企業活動としては、なぜその森の形を選ぶのかを説明できることが大切です。植える本数より、森の状態がどう変わるかに目を向けると伝わりやすくなります。

 

 

企業が取り組む植林・森林整備の進め方

企業活動として森に入るときは、環境面だけでなく、安全と継続の設計が欠かせません。山の現場は天候や地形の影響が大きく、段取りが甘いと参加者の負担が増えます。ここでは活動エリアの選び方、当日の安全管理、続けやすい参加の形を整理します。初めてでも検討しやすい観点に絞ってお伝えします。

 

活動エリア選びの観点

エリア選びでは、移動時間、現場の傾斜、トイレや休憩場所の確保、携帯電波の状況など、現実的な条件が大切です。防災とのつながりを意識するなら、流域や斜面の特徴、過去の豪雨被害の有無なども確認材料になります。ただし危険な場所で無理に実施する必要はありません。まずは安全に実施でき、地域側も受け入れ体制がある場所から始めると、社内の理解も得やすいです。

 

安全管理と当日の運営体制

森の作業は、滑りやすい斜面、枝の落下、虫刺され、熱中症など、日常と違うリスクがあります。ヘルメットや手袋の用意、服装の事前案内、作業前の説明、体調確認、休憩の取り方など、基本の徹底が重要です。作業は班に分けて、経験者が目の届く範囲で進めると安心です。雨天時の判断基準や中止連絡の流れも、事前に決めておくと当日の混乱を減らせます。

 

継続性を担保する参加設計

単発のイベントにすると、達成感は得やすい一方で、森の変化は見えにくいです。継続するなら、年に一回の植樹と下刈り、数年単位の間伐支援など、無理のない頻度にするのが現実的です。参加者が毎回同じでなくても回るように、写真や簡単な記録で引き継げる形にしておくと続きます。社員の参加が難しい会社は、寄付や会員制度で資金面を支える形も選べます。できることを小さく始めて、続けながら育てる考え方が合っています。

 

 

活動の成果を伝えるための指標づくり

植林や森林整備は、成果が出るまで時間がかかります。だからこそ、社内外に伝えるときは、本数だけに頼らない指標が役立ちます。防災につながると言う場合も、断定ではなく、森の状態がどう変わったかを丁寧に示すほうが信頼されやすいです。ここでは見える化の項目、言葉選び、発信の注意点をまとめます。

 

本数以外で見える化できる項目

植えた本数は分かりやすい一方で、育っているかは別の話です。例えば苗木の活着率、下刈りの実施回数、獣害対策の設置延長、間伐面積、作業道の補修箇所などは、手入れの積み重ねを示せます。写真も有効で、同じ地点から定点撮影をすると変化が伝わりやすいです。参加者数や延べ作業時間も、社内の取り組みとしては整理しやすい指標です。

 

防災とのつながりを説明する言葉選び

防災効果を語るときは、森の手入れが雨水のしみ込みやすさ、地表の保護、土の安定に関わる、という因果の筋道を丁寧に説明するのが基本です。災害を防ぐ、と言い切るより、リスクを小さくするための土台づくり、豪雨時の水の動きを穏やかにする方向に働く、といった表現が誠実です。社内向けには、なぜその地域で、なぜその作業なのかを短い文章で整理しておくと、説明がぶれません。

 

社内外への発信で気をつけたい点

発信では、活動の範囲と限界をセットで伝えると信頼につながります。例えば植林後の手入れ体制、地域の関係者と協力していること、安全に配慮していることなどです。写真を使う場合は、作業の安全装備が写っているか、場所が特定されすぎないかにも注意が必要です。また、自然保護の話は価値観が分かれることもあります。相手を説得する言い方より、現場で見た事実や学びを淡々と共有するほうが、社内外ともに受け止められやすいです。

 

 

特定非営利活動法人MAKE HAPPYの森林と防災の取り組み

ここからは、特定非営利活動法人MAKE HAPPYが行っている活動をもとに、森林の手入れと防災をどう結びつけているかをご紹介します。植林だけに偏らず、間伐や災害復興支援ともつながる形で取り組んでいる点が特徴です。企業として関わる場合も、単発で終わらせない関わり方を考える材料になります。

 

植林と間伐を防災につなげる考え方

MAKE HAPPYでは、国内外での植林に加えて、国内の人工林での間伐にも取り組んでいます。人工林は植えた後の手入れが前提ですが、人手不足などで整備が追いつかない場所があります。そこで間伐などの森林整備を進め、森に光を入れ、下草が育ちやすい環境を整えることを大切にしています。雨を受け止め、土が守られやすい状態をつくることは、豪雨時のリスクを小さくする土台にもなります。植える活動と整える活動をセットで考えることで、森の状態に目を向けた関わり方になりやすいです。

 

災害復興支援との連携

災害支援部門のめ組JAPANでは、2011年から現在まで国内外あわせて10ヶ所で災害支援活動を行ってきました。泥かきや家財出しなどの作業支援に加え、洗浄や消毒などの技術支援、地域のお茶会のような場づくり、ボランティアの受け入れ調整など、現場の状況に合わせた支援を続けています。森林の手入れを防災につなげる視点は、災害が起きた後の支援を知っているからこそ、予防の大切さを現実の言葉で語れるところにもあります。森と暮らしの距離を縮める活動として、相互に支え合う関係を意識しています。

 

ハッピーサポーターで支えられる活動範囲

MAKE HAPPYでは、毎月定額で活動を応援できるハッピーサポーターを募集しています。個人会員と法人会員があり、月額と年額のコースがあります。現地に行けない方でも、植林や間伐、災害復興支援、海洋掃除といった活動の基盤を支える形で関われます。企業にとっても、まずは無理のない規模で継続し、必要に応じて現場参加や協働へ広げていく選択がしやすくなります。継続的な支えがあることで、道具や人員の確保、活動の積み重ねにつながっていきます。

 

 

まとめ

植林を企業活動として始めるときは、植えること自体よりも、なぜ森なのか、何を目指すのかを先に整えておくと進めやすいです。寄付、植樹、間伐など手段は複数あり、それぞれに向き不向きがあります。森の手入れが防災につながる理由は、雨を受け止める仕組みや、根や落ち葉がつくる土の状態が関係しているからです。特に手入れ不足の人工林では、下草が育ちにくく表土が流れやすい状態になりやすいため、間伐を含む整備が大切になります。活動の成果は本数だけで語らず、手入れの積み重ねや森の変化を丁寧に見える化すると、社内外に伝わりやすくなります。無理なく続けられる関わり方を探している方は、支える形から始めるのも一つの選択です。
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