森林に囲まれた日本では、緑豊かな景色が身近にありますが、その多くが人工的に植えられた森だということは、あまり知られていません。特にスギやヒノキなどの人工林は、人の手による定期的な手入れが必要です。しかし近年、林業の担い手不足や経済的な理由から、こうした森が放置されるケースが増えています。
適切な手入れが行われないと、木々が密集しすぎて光が届かず、下草が育たず、土壌が弱くなります。その結果、土砂災害のリスクが高まり、森が本来持つ防災機能や生態系のバランスが崩れてしまうこともあります。
この記事では、間伐がなぜ必要なのか、また放置された森が抱えるリスクについて詳しく解説していきます。自然環境を守りたいという思いはあっても、日常の中で何ができるのか分からないという方にも、読み進めていただきたい内容です。
間伐の必要性とは?
間伐とは、森林の中で育ちすぎた木々の一部を計画的に伐採し、残された木の成長を促す作業を指します。特に日本に多いスギやヒノキなどの人工林では、人の手によって木を間引くことで、森全体の健康が保たれます。この手入れを怠ると、木が密集しすぎて日光が地面に届かなくなり、土壌の保水力が低下してしまいます。間伐は、見た目以上に重要な役割を担っているのです。
人工林と自然林の違い
自然林は、長い年月をかけて自然に成立した森であり、多様な植物や動物が共存するバランスの取れた環境です。一方、人工林は木材資源を確保する目的で人が植えた森です。特定の樹種に偏っており、放置しておくと過密になりやすく、生態系の多様性も乏しくなりがちです。そのため、人工林には継続的な間伐が欠かせません。
森林が抱える現代的な課題
日本では戦後の木材需要に応じて大量のスギ・ヒノキが植林されましたが、海外木材の輸入自由化により国産材の需要が低迷し、林業が衰退。その結果、人工林の管理が行き届かなくなっています。また、担い手不足や山間部の高齢化といった社会的な背景もあり、森の手入れが難しくなっているのが現状です。
間伐が森林環境に果たす役割
間伐を行うことで、木々の間に十分な空間ができ、光が地表まで届くようになります。これにより下草や他の植物が育ちやすくなり、土壌が安定します。さらに、間引かれた木材は資源としても活用できるため、環境保全と資源循環の両面で意義があります。間伐は、森を健やかに保ち、次の世代に豊かな自然を引き継ぐための大切な手段です。
間伐を怠った森が抱えるリスク
適切な間伐が行われずに放置された森林は、一見すると自然のままのように見えるかもしれません。しかし実際には、木が密集しすぎて成長が妨げられ、光が届かずに地表の植物が枯れてしまうなど、森の機能が大きく損なわれています。こうした状態の森は、見過ごせないリスクを多く抱えています。
土砂災害や洪水の増加
木が過密になっている森では、根が浅く張る傾向があり、大雨の際に土砂崩れを起こしやすくなります。また、地表の下草が育たないと、土壌の保水力が落ち、雨水がそのまま斜面を流れ落ちてしまい、洪水の原因にもなります。実際に、山間部で発生する土砂災害の多くは、森林の手入れ不足が一因となっていると指摘されています。
木々の成長不良と病害虫の蔓延
間伐を行わないまま放置された森林では、木が互いに競合しながら育つため、一本一本が十分に育ちません。細くて弱い木が増えると、風や雪の影響で倒木のリスクも高まります。また、風通しが悪いことで湿気がこもりやすくなり、カビや病害虫が発生しやすい環境になります。こうした被害が広がると、森林全体が衰えてしまいます。
生態系への悪影響
木々が密集した森では、地表に光が届かなくなるため、下草や低木が育たず、そこに棲む昆虫や小動物たちのすみかが失われます。結果として、生態系のバランスが崩れ、生物の多様性が低下してしまいます。間伐は、森林の多様な生きものたちが共存できる環境を守るためにも、重要な作業です。
気候変動と間伐の関係
近年、気温の上昇や異常気象の頻発など、気候変動の影響を日常生活の中でも感じる場面が増えています。こうした変化に対して、森林が果たす役割は非常に大きく、特に間伐を通じて森林の健全性を維持することが、地球環境の安定にもつながります。ここでは、間伐がどのように気候変動と関係しているのかを見ていきます。
CO2吸収量の維持と向上
森林は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、酸素を生み出す「地球の肺」とも呼ばれる存在です。しかし、密集しすぎた木々はお互いに栄養や光を奪い合い、成長が鈍化することで、CO2の吸収効率が落ちてしまいます。間伐を行うことで、残った木が健全に育ち、より多くのCO2を吸収できるようになります。
間伐による森林の健全化と地球温暖化防止
適切に管理された森は、気温や湿度の調整機能を持ち、都市部のヒートアイランド現象の抑制にもつながります。間伐によって光と風が通る環境を整えることで、森林の中の温度・湿度のバランスが保たれ、地球規模での気候安定化にも貢献します。こうした働きは、日々の気候の穏やかさにも関わる重要な要素です。
カーボンニュートラルへの貢献
国や企業が目指すカーボンニュートラル(排出するCO2と吸収・除去するCO2を差し引きゼロにすること)の実現にも、間伐は関わっています。健全な森林を維持することは、炭素を吸収し続ける基盤を支えることであり、環境保護の取り組みと連動した社会的責任の一部でもあります。個人や法人が間接的に気候変動への対策に関わる方法として、間伐支援という形が注目されています。
地域社会にとっての間伐の意義
間伐の目的は、単に森林を整えることにとどまりません。実は、地域社会の安全や経済、文化的な営みにも深く関わっています。特に山間部や中山間地域では、森林の状態がそのまま地域の暮らしに影響することも少なくありません。ここでは、間伐が地域にもたらす具体的な意義について紹介します。
森林資源の有効活用
間伐で切り出された木は、建材や家具、紙など、さまざまな形で利用することができます。適度に間伐を行いながら、資源として活かすことで、国産材の循環利用が促進されます。こうした取り組みは、輸入材に依存しすぎない持続可能な社会を築く上でも重要です。間伐は、自然を守りながら資源を活かす循環型の仕組みの一部といえます。
里山保全と地域経済の活性化
里山地域では、昔から人と森が共に暮らしてきた歴史があります。しかし、過疎化や高齢化によりその関係が希薄になる中、間伐などの森林整備をきっかけに、地域の林業や観光資源としての価値が見直されています。たとえば、整備された森での散策や木工体験など、地域に新たな交流や雇用が生まれることもあります。
防災と暮らしの安全確保
森林が健全な状態に保たれていれば、土砂の流出や水害のリスクを軽減することができます。反対に、放置された森は災害の被害を拡大させる要因にもなり得ます。間伐によって山の斜面が安定すれば、下流にある集落や田畑の安全が守られ、安心して暮らせる環境が維持されます。地域にとって間伐は、目に見えない防災対策のひとつです。
間伐による持続可能な森林管理とは
持続可能な森林管理とは、森林の環境を守りながら、その恩恵を社会全体で活かしていく取り組みのことです。間伐はこの考え方の中でも重要な役割を担っており、森林と人の関係を長期的に良好な状態で保つための基本的な作業といえます。ここでは、間伐がどのように持続可能な森林管理に関係しているかを解説します。
SDGsとの関連性
間伐を含む森林整備の取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の中でも複数の目標に該当します。特に「気候変動に具体的な対策を(目標13)」「陸の豊かさも守ろう(目標15)」に深く関係しており、環境の保全と地域の暮らしを支える活動として世界的に求められています。日々の手入れの積み重ねが、地球規模の課題解決につながっているのです。
環境保全と経済活動の両立
森林を守ることと経済活動を進めることは、一見すると対立するようにも見えますが、実は両立が可能です。間伐された木材を地域で活用したり、森林整備の仕事を地元の人が担うことで、環境と経済の両面に良い影響を与えることができます。こうした取り組みは、山村の暮らしを守りながら地域の自立にもつながっていきます。
人の手による森づくりの必要性
人工林は放っておいて自然に戻るわけではありません。人が植えた森には、人の手が必要です。特に間伐は、定期的かつ長期的な視点で行うことが重要です。間伐を続けることで、次の世代にも豊かな森林環境を残すことができます。人と森が長くつながり続けるために、今、私たちの関わりが求められています。
MAKE HAPPYの間伐活動について
森林の健全な循環を目指して、さまざまな団体が間伐に取り組んでいますが、MAKE HAPPYもその一つです。日本各地で人工林の手入れを行い、自然環境の保全と防災につながる活動を進めています。ここでは、MAKE HAPPYがどのような想いで間伐活動を行っているのか、その内容をご紹介します。
国内の人工林で進める間伐プロジェクト
MAKE HAPPYでは、国内にあるスギやヒノキなどの人工林を対象に、定期的な間伐作業を実施しています。特に人の手が届きにくくなっている山林を中心に、木々の密度を適正に保ち、光や風が通る森づくりを目指しています。植えられたまま放置された森林を、再び健全な姿に整えることが活動の柱となっています。
防災支援とつながる取り組み
この間伐活動は、MAKE HAPPYが行っている災害復興支援と密接に関わっています。手入れが行き届かない森林は、土砂災害や洪水の被害を大きくする原因になります。逆に、間伐によって山の保水力が高まり、災害の被害を防ぐことにもつながります。こうした取り組みを通じて、災害に強い地域づくりにも貢献しています。
継続的な支援がもたらす変化
間伐は一度行えば終わりではなく、継続的な手入れが求められる作業です。MAKE HAPPYでは、持続可能な森林管理を実現するために、地域の方々や協力団体と連携しながら活動を続けています。また、間伐によって得られる木材の一部は、環境教育や体験活動にも活用され、子どもたちが自然とのつながりを学ぶ場にもなっています。
間伐活動を支える「ハッピーサポーター」とは
森林を守る活動は、長い時間と地道な努力を必要とします。MAKE HAPPYの間伐プロジェクトも、そうした継続的な取り組みの一つです。そして、この活動を安定して続けるためには、資金面での支援が欠かせません。そこで設けられているのが、「ハッピーサポーター」という仕組みです。個人でも法人でも参加でき、無理のない形で自然環境の保全に関わることができます。
個人でできる環境支援のかたち
ハッピーサポーターの個人会員は、毎月または年単位の定額支援を通じて、森林整備や間伐活動、災害支援などMAKE HAPPYの取り組みを継続的に応援できます。実際に現場に足を運べない方でも、自然や子どもたちの未来を思う気持ちを、こうした形で形にすることが可能です。自宅にいながら社会の役に立てる参加方法として、多くの方にとってハードルが低く、取り組みやすい点も特長です。
法人としての社会貢献の第一歩
中小企業などの法人がハッピーサポーターになることで、CSRやSDGsへの貢献を具体的に示すことができます。森林保全や災害支援に関わる活動への協賛は、取引先や社員、地域社会に対する信頼やイメージにもつながります。また、法人会員には活動報告やイベント情報などが提供され、社内コミュニケーションの材料としても活用されています。
活動報告とつながりの実感
支援をいただいた方には、活動の様子を伝えるレポートや写真が定期的に届けられます。これにより、支援がどのように現場に生かされているのかを実感しやすく、自然と支援者と活動との距離が縮まっていきます。「応援して終わり」ではなく、「見守り、共に進む」関係が育まれているのが、ハッピーサポーターの魅力です。
まとめ
間伐は、見た目には地味で地道な作業かもしれません。しかし、木々の健やかな成長を助け、災害を防ぎ、地球環境を守るために欠かせない役割を果たしています。放置された森林が抱えるリスクは、私たちの暮らしや未来に直結しており、決して他人ごとではありません。
CO2の吸収、土砂災害の抑制、生態系の維持といった環境的な意義に加えて、間伐は地域の経済や暮らしを支える仕組みの一部にもなっています。そして何より、こうした活動を長く続けていくためには、多くの人の理解と支援が必要です。
MAKE HAPPYでは、日本各地の人工林で間伐を進め、森林の力を再生させる活動を行っています。私たちの手入れは、災害支援や環境教育の現場ともつながっており、一つ一つの行動が、より安全で豊かな社会の基盤づくりにつながっています。
自然環境に関心はあるけれど、何から始めればよいか分からないという方へ。まずは、ハッピーサポーターとして参加することからはじめてみませんか。月々の小さな支援が、大きな森の再生につながっていきます。
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