世界が注目する海洋ゴミ問題、日本のNPOが果たす役割とは – MAKE HAPPY
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世界が注目する海洋ゴミ問題、日本のNPOが果たす役割とは

波打ち際に打ち上げられたペットボトルやレジ袋、ふと海辺を歩けば目にすることの増えたこの風景は、私たちの生活のすぐそばで進行している環境問題のひとつです。海洋ゴミ、特にプラスチックごみによる汚染は、魚や海鳥など多くの生き物に被害を与えるだけでなく、やがて人間の健康や暮らしにも影響を及ぼすと懸念されています。

こうした現状に対し、世界中で多くの対策が試みられていますが、その中で大きな役割を果たしているのが、地域や国を越えて活動するNPO法人です。日本でも、海を守るために地道な清掃活動や教育を進める団体が増えており、一般の人たちが参加しやすい仕組みも整えられています。

この記事では、海洋ゴミがなぜこれほどまでに深刻なのかを改めて見つめ直し、日本のNPOが果たす役割や取り組みの実例について紹介していきます。

 

 

海洋ゴミ問題とは?その現状と深刻さ

海洋ゴミは、世界中の海で急速に拡大している深刻な環境問題のひとつです。波間を漂うプラスチック製品や発泡スチロール、漁網、日用品など、多くが人間の暮らしから排出されたものです。これらは自然に分解されるまでに数十年、あるいは数百年を要し、長期間にわたって海に残り続けます。

特に目立つのがプラスチックゴミの問題です。軽くて丈夫なプラスチックは風や水流で容易に海へ流れ出し、国境を越えて世界中の海へ広がっていきます。これにより、海の美しさが損なわれるだけでなく、生態系そのものへの大きな影響も懸念されています。

 

世界各地で進行する汚染の実態

太平洋には「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる海洋ゴミが集中するエリアがあり、その面積は日本の数倍にも及ぶと推定されています。これは一例にすぎず、インド洋、大西洋、地中海でも同様のゴミの集積が報告されています。

発展途上国の一部ではごみ処理体制が整っておらず、川や海へと直接流されるケースも少なくありません。一方で先進国でも不法投棄やリサイクル処理の不備によって、海への流出が後を絶たないのが現状です。

 

海洋生物への影響とその連鎖

プラスチック製品を誤って飲み込んだ海鳥や魚、ウミガメが命を落とすケースは年々増加しています。細かく砕けたマイクロプラスチックは、海の中のプランクトンが摂取し、それを食べる魚や貝、さらにはそれらを口にする人間にまで影響を及ぼします。

つまり、海洋ゴミの問題は、食物連鎖を通じて私たちの食卓にもつながっており、決して海の問題だけではないのです。

 

人間社会へのリスクとは

目に見えにくい影響も無視できません。マイクロプラスチックは、体内に取り込まれることで内臓や免疫機能への影響が懸念されており、健康へのリスクが指摘されています。漁業や観光業など、海に関わる産業への経済的損失も大きな課題です。

また、美しい海岸線にゴミが漂着することで、観光地のイメージが損なわれ、地域経済への打撃も深刻です。

 

プラスチック製品が抱える課題

便利さと引き換えに、大きな環境負荷をもたらすプラスチック。特に使い捨ての製品は、使用時間がわずかなのに対し、分解には非常に長い年月がかかります。自然の中に流出した後は人の手で完全に回収するのが難しく、多くが海底や海面を漂い続けます。

リサイクル率の低さや代替素材への移行の遅れもあり、社会全体としての意識改革が求められています。

 

 

なぜ今、海洋ゴミ対策が必要なのか

私たちの暮らしに欠かせない海。その海がいま、ゴミによって危機にさらされています。目に見える大型の漂着ゴミだけでなく、目に見えないマイクロプラスチックまで含めると、海洋環境への影響はますます深刻化しています。すでに問題は広く知られているものの、対策が進まず放置されることで、被害が連鎖的に拡大する状況にあります。

だからこそ、これ以上問題を先送りにせず、今すぐにでも海洋ゴミ対策を進める必要があるのです。一人ひとりの行動が変われば、未来の海の姿も変えられます。身近な意識の変化から、大規模な国際協力まで、さまざまなレベルでの対策が求められています。

 

放置されたままでは悪化する環境

海洋ゴミは時間が経っても自然に消えることはありません。むしろ紫外線や波の力で砕け、より小さな破片となって海の中に広がっていきます。こうして発生したマイクロプラスチックは、回収がほぼ不可能になるため、放置するほどに状況は悪化してしまいます。

沿岸部に蓄積されたゴミは海洋流出の起点にもなり、台風や大雨のたびに大量のゴミが海へ押し出されるという悪循環を生んでいます。対策を先延ばしにすることは、結果として未来の負担を増やすことにつながります。

 

リサイクルの限界と新たな対応策

これまでの対策の多くは「リサイクル」に頼ってきましたが、それだけでは限界があります。多くのプラスチック製品が複数の素材でできているため、分別が難しく、リサイクル率は思ったほど高くありません。結果として、焼却処理や埋め立てに頼らざるを得ない現状が続いています。

そこで注目されているのが、発生源からゴミを減らす「リデュース」や「リユース」の取り組みです。使い捨てを前提としない商品設計や、詰め替え・再利用を促す社会の仕組みづくりが、今後の対策の柱になっていくと考えられています。

 

個人ができる身近な行動

大きな問題に思える海洋ゴミの問題も、実は私たちの日々の行動と密接に関わっています。マイバッグやマイボトルを持ち歩くこと、必要以上の包装を避けること、ごみの分別を正しく行うことなど、できることは意外と身近にあります。

たとえば、ビーチや川沿いでの清掃活動に参加することも有効な手段です。実際に目で見て拾ってみると、自然の中にある異物の多さに驚き、自分の暮らしを見直すきっかけになるかもしれません。

 

地域と連携した清掃活動の広がり

海洋ゴミの多くは、海から出たものではなく、街や川から流れ着いたものです。そのため、対策は海辺に限らず、地域全体で取り組む必要があります。近年では、自治体や市民団体、学校、企業などが連携し、川や街中の清掃を通して海洋ゴミを減らす活動が広がっています。

こうした活動は、単なる清掃にとどまらず、環境意識を育てる教育の場としても機能しています。参加者同士の交流を通じて、「自分たちの手で海を守る」という実感が生まれ、それが次の行動へとつながっていきます。

 

 

世界の海洋ゴミ対策とその成果

海洋ゴミの問題は、もはや一国だけで解決できる課題ではありません。国境を越えて流れ着くプラスチックや漂流物は、地球規模での対策を必要としています。各国の政府や自治体、企業、そして市民団体が、それぞれの立場からこの問題に向き合い始めています。

対策の内容は国や地域によって異なりますが、共通しているのは「発生源を減らす」「流出を防ぐ」「回収を進める」という3つの視点です。それぞれの国がどのような取り組みを行い、どんな成果を上げているのかを知ることで、今後の日本の対策にもヒントが見つかります。

 

欧州での禁止政策とその効果

ヨーロッパでは早くから使い捨てプラスチックへの規制が強化されてきました。2019年にはEUが、ストローやカトラリーなどの使い捨てプラスチック製品を禁止する方針を打ち出し、2021年には多くの加盟国で実施が始まりました。

この動きによって、プラスチック製品の使用量は大幅に減少し、企業や消費者の意識も大きく変わってきています。代替素材の開発も活発に進み、環境への負荷を減らす流れが加速しています。

 

アジア諸国の取り組みの変化

大量の海洋ゴミを排出しているとされるアジア地域でも、変化が見られるようになっています。たとえばインドネシアでは、2025年までに海洋プラスチックを70%削減する目標を掲げ、政府主導で清掃活動やリサイクル促進、教育プログラムの導入が進められています。

また、タイやベトナムなどでも、レジ袋の有料化やプラスチック製品の規制が導入され、市民の意識改革が進行中です。地域住民との連携や草の根の活動が功を奏しており、着実に成果が表れ始めています。

 

技術活用による新しい試み

最新の技術を活かした海洋ゴミ対策も注目されています。オランダでは、海面を漂うゴミを自動で収集するシステム「オーシャンクリーンアップ」が導入され、大規模なゴミ帯の回収に挑戦しています。

また、AIやドローンを活用して漂着ゴミの分布を調査し、効率的な回収や処理を行う取り組みも始まっています。こうした技術の導入は、作業の効率化だけでなく、持続的な運用にもつながると期待されています。

 

国際協力による解決への道筋

海洋ゴミの問題は、国境を越えて影響を与えるため、各国の協力が欠かせません。国際的な枠組みとしては、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の14番目「海の豊かさを守ろう」が掲げられ、国際会議や条約の場でゴミ問題が議題に上がることも増えてきました。

さらに、各国のNPOや企業、研究機関が連携してプロジェクトを進める例も増えており、分野を超えた協力が成果を生み出しています。こうした枠組みは、日本においてもより積極的に関わっていくことが期待されています。

 

 

日本の現状と取り組みの課題

世界中で対策が進む海洋ゴミ問題において、日本も例外ではありません。四方を海に囲まれたこの国では、豊かな海の恵みに支えられてきた一方で、沿岸や河川を通じて大量のゴミが海へと流れ出しています。日常生活の中から出るごみの多くが、風や雨、水の流れによって海にたどり着き、蓄積されていくのが現状です。

清掃活動や啓発運動など、各地で地道な取り組みは行われているものの、まだ十分に効果を発揮しているとは言えません。社会全体としての意識の底上げと、より具体的で持続可能な仕組みづくりが今後の課題です。

 

日本近海における漂着ゴミの実態

日本近海には、国内からの流出だけでなく、近隣諸国から漂着するゴミも多く確認されています。特に西日本や日本海側では、プラスチック容器や漁具、発泡スチロールなどが海岸に打ち上げられ、景観や環境に深刻な影響を与えています。

環境省の調査によると、日本の海岸線には毎年およそ2万トン以上の漂着ゴミが確認されており、その多くはプラスチックを含む人工物です。こうしたゴミの回収には多大な労力と費用がかかり、地方自治体の大きな負担となっています。

 

自治体や地域団体の清掃活動

多くの地域では、自治体やボランティア団体が中心となり、定期的な海岸清掃活動を行っています。学校や企業の協力を得て大規模に行われることもあり、地域全体の関心を高める大切なきっかけとなっています。

こうした取り組みは、単なるごみ拾いにとどまらず、参加者が現状を「自分ごと」として受け止め、行動を見直す機会にもなります。しかしながら、人的資源や予算が限られる中で、継続的に実施するには多くの課題も抱えています。

 

制度や意識の遅れがもたらす影響

日本では、ごみの分別やリサイクルが進んでいる印象がある一方で、プラスチック製品の使用量や廃棄量は世界的に見ても多い水準にあります。レジ袋の有料化など一定の取り組みは進められているものの、使い捨て文化が根強く残っているのも事実です。

また、海洋ゴミに関する啓発や教育が十分に行き渡っていないため、問題意識が社会全体に浸透しているとは言えません。こうした意識の差が、対策の進行を鈍らせる一因となっています。

 

政策的な支援と課題の整理

政府も「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」などの方針を掲げていますが、実効性のある施策はまだ限定的です。清掃活動の支援や代替素材への転換に向けた補助金の拡充など、具体的な後押しが求められています。

また、行政だけでなく、企業や市民も一体となった包括的な取り組みが必要です。そのためには、誰もが参加しやすい仕組みづくりと、問題を見える化する工夫が求められています。

 

 

海洋ゴミとSDGsの関係性

持続可能な未来を実現するための世界共通の目標として掲げられた「SDGs(持続可能な開発目標)」。その中には、海洋ゴミの問題と深く関わる項目がいくつも含まれています。中でも特に関連性が高いのが目標14「海の豊かさを守ろう」です。

この目標では、海洋汚染を防ぎ、海の生態系を保護することが求められており、海洋ゴミの削減はその実現に向けた重要な要素のひとつです。さらに、ゴミ問題は陸上の生活や経済とも密接につながっているため、複数のSDGs目標と交差しています。

 

目標14「海の豊かさを守ろう」との関連

SDGsの中でも海に特化した目標14では、「2025年までに海洋ごみや富栄養化など、すべての種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減すること」が明記されています。このなかには、プラスチックごみの問題も含まれており、各国が具体的な対策を講じることが期待されています。

海洋ゴミ対策は、この目標を達成するための中心的な取り組みであり、ゴミの発生源を減らすこと、回収体制を整えること、そして教育を通じた意識改革がその柱となっています。

 

陸と海のつながりを意識した取り組み

海に流れ込むゴミの多くは、もともと陸上で発生したものです。つまり、海のゴミを減らすためには、街中や家庭でのごみ管理の徹底が欠かせません。河川や側溝を通じて海にたどり着くごみは、私たちの生活の中から生まれているという現実を、多くの人がまだ実感していないのが実情です。

そこで注目されているのが、「陸と海の一体的な保全」という視点です。山から川、そして海へとつながる自然の流れを意識し、上流域の環境保全や街のごみ削減も海洋保護の一部として考えることが、持続可能な対策には不可欠です。

 

持続可能な資源循環への転換

海洋ゴミの主な原因であるプラスチックごみの多くは、資源として再利用が難しく、焼却や埋め立てに頼らざるを得ないのが現状です。こうした「使い捨て」の仕組みを見直し、「使い続ける」仕組みへと転換することが、長期的な課題として求められています。

近年では、リユース可能な容器の導入や、バイオ素材を活用した製品の開発など、持続可能な資源循環に向けた動きが始まっています。こうした取り組みは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にもつながっており、企業や消費者の行動変化が重要です。

 

次世代教育に求められる内容

将来の環境を守るためには、今の子どもたちへの教育が鍵となります。海洋ゴミ問題を通じて、自然の大切さや自分たちの暮らしとの関係を学ぶことは、持続可能な社会づくりに欠かせません。

実際にゴミを拾う体験を通じて、環境問題が「自分ごと」として感じられるようになれば、日常の行動にも変化が生まれます。学校教育だけでなく、地域でのワークショップやイベントなど、さまざまな場面での環境学習の機会が求められています。

 

 

MAKE HAPPYによる海洋ゴミ対策の実践

世界各地で深刻化する海洋ゴミの問題に対し、日本発のNPO団体として独自の取り組みを展開しているのがMAKE HAPPYです。美しい海を次世代に残したいという思いのもと、長年にわたりインドネシア・バリ島を拠点に清掃活動を行っており、現地の環境だけでなく、地域社会や子どもたちにもポジティブな影響を与えています。

海洋ゴミはグローバルな問題である一方、解決には地道な地域活動が欠かせません。そうした中で、草の根レベルで着実に行われている活動のひとつとして、多くの共感を集めています。

 

バリ島での清掃活動とその背景

インドネシアのバリ島では、毎年雨季になると大量のプラスチックゴミが海岸に漂着します。その量は多い日で数十トンにも及び、観光資源としての美しいビーチが深刻な被害を受けてきました。

こうした現状に対し、継続的な清掃活動を行うことで、海岸の美しさを取り戻すだけでなく、地域の人々や観光客に対しても環境への意識を促す役割を果たしています。特に現地の事情に合わせた柔軟な取り組みが、活動の継続と成果につながっています。

 

地域住民や子どもたちとの連携

清掃活動は単独で行うのではなく、現地の住民や子どもたちと連携して実施されています。一緒にゴミを拾うことで、地域全体に環境保全への関心が広がり、単なる作業ではなく「未来の海を守る意識づくり」の場となっています。

こうした活動を通じて、自然と人、人と人がつながる関係性が生まれ、共に環境を守る意識が地域の中に根づいていくのです。

 

就労支援としての取り組みの価値

環境保全活動と同時に、現地の就労支援にもつながっている点が、この取り組みの大きな特徴です。清掃活動に関わることが収入源のひとつとなり、特に経済的に困難な状況にある若者や女性の生活を支える仕組みが整えられています。

社会的な課題と環境問題を同時に解決する取り組みは、地域に根ざしたNPOだからこそ実現できる形であり、持続可能な支援としても高く評価されています。

 

海を守る意識を広げるための工夫

現地での清掃活動を通して得られた知見や経験は、日本国内でも広く共有されており、講演やワークショップなどを通じて多くの人に伝えられています。活動の様子を可視化することで、参加していない人にも問題意識を持ってもらうきっかけとなっています。

また、定期的に情報発信を行うことで、「現地で何が起きているのか」「自分に何ができるのか」を考える入口となり、共感から行動へのステップを後押しする仕掛けが作られています。

 

 

まとめ

世界的に深刻化する海洋ゴミ問題は、私たちの生活と密接に関わっており、放置すれば環境や生態系、人々の健康、経済にまで深い影響を及ぼします。大量に使われ、使い捨てられるプラスチック製品の存在が、今や海を汚し、生き物の命を脅かし、そしてやがて私たち自身の暮らしにも跳ね返ってきています。

こうした問題に対し、各国でさまざまな対策が講じられ、一定の成果も見え始めています。一方で、日本国内では制度や意識の面でまだまだ課題も多く、地域レベルでの取り組みや社会全体の行動変化が求められているのが現実です。

MAKE HAPPYでは、インドネシア・バリ島を中心にした海洋ゴミの清掃活動を通じて、環境保全と地域社会の支援を両立させる取り組みを続けています。現地の人々と協力しながら、ただゴミを拾うだけでなく、自然とのつながりや未来への責任を感じられる活動として根づいています。

「自然を守りたい」という想いを持つすべての人が、行動の一歩を踏み出せるように。まずは支援という形から、未来に向けた取り組みに参加してみませんか?

 

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